#2 こだわりの茶筌に触れる
茶筌の町、奈良県生駒市高山町。
室町時代中期、奈良ともゆかりの深い茶道・侘び茶の開祖とされる村田珠光が、お茶を攪拌するための道具を高山城主の鷹山宗砌に依頼したのが始まりとされています。その後、後土御門天皇が、珠光の茶の湯の席に出かけられた際、宗砌が献上した茶筌の繊細さに感動され、茶筌に「高穂」と名を付けました。そのことに感動した宗砌は、茶筌作りを秘伝とし、茶筌作りに力を入れます。高穂茶筌が有名になっていくことで、かつての鷹山村の名前や家名の鷹山を廃止し、高穂にちなんで、この地を高山と改めました。
「茶筅」と「茶筌」の違い。
実は、高山町で作られたものだけが「茶筌」と呼ぶことができるのです。秘伝の作り方を盗まれないように、一子相伝で技を受け継ぎ、長らくは夜の暗い中で制作をしていたそうです。茶筌の作り方を見学できること自体、一昔前では考えられないことでもあり、とても大切に守られてきた作り方であることが伝わってきます。
茶筌作りの流れは、乾燥させた竹を割り入れ、皮を剥ぎ、裂いていく。
この流れがとてもスムーズで、1本の竹がみるみる変化していく様に惹きつけられます。今回は一連の流れを見ることができましたが、実際は分業で作業されています。 資料館には流派ごとの茶筌が展示されており、見比べてみると、小さな違いやこだわりで茶筌の表情がこんなに変わるのかと驚かされます。 茶筌は道具。だからこそ、常に安定した質のものを作り続ける職人技に感動したひと時でした。